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「人生不如一行波特萊爾」的出處。

或阿呆の一生(あるあほうのいっしょう)は、
芥川龍之介作の小説。「改造」1927年10月号に掲載された。
1927年の芥川自殺後に見つかった文章で、自分の人生を書き残したと思われている。友達への遺書の中に、この事が詳しく記されてある。ぼんやりとした不安が、鬱を思わせるような優しく冷たい文章で筆致されている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%96%E9%98%BF%E5%91%86%E3%81%AE%E4%B8%80%E7%94%9F

一 時代

 それは或本屋の二階だつた。二十歳の彼は書棚にかけた西洋風の梯子(はしご)に登り、新らしい本を探してゐた。モオパスサン、ボオドレエル、ストリントベリイ、イブセン、シヨウ、トルストイ、……
 そのうちに日の暮は迫り出した。しかし彼は熱心に本の背文字を読みつづけた。そこに並んでゐるのは本といふよりも寧(むし)ろ世紀末それ自身だつた。ニイチエ、ヴエルレエン、ゴンクウル兄弟、ダスタエフスキイ、ハウプトマン、フロオベエル、……
 彼は薄暗がりと戦ひながら、彼等の名前を数へて行つた。が、本はおのづからもの憂い影の中に沈みはじめた。彼はとうとう根気も尽き、西洋風の梯子を下りようとした。すると傘のない電燈が一つ、丁度彼の頭の上に突然ぽかりと火をともした。彼は梯子の上に佇(たたず)んだまま、本の間に動いてゐる店員や客を見下(みおろ)した。彼等は妙に小さかつた。のみならず如何にも見すぼらしかつた。
「人生は一行(いちぎやう)のボオドレエルにも若(し)かない。」
 彼は暫(しばら)く梯子の上からかう云ふ彼等を見渡してゐた。……

那是一家書店的二樓。二十歲的他,爬上架在書櫃間的西式梯子,正在尋找新書。莫泊桑、波特萊爾、史特林堡、易卜生、托爾斯泰…… 不久,黃昏已迫近了。但他仍然熱心地看著書脊上的字。排列在那裡的,與其說是書,毋寧就是世紀末本身。尼采、魏崙、龔固爾兄弟、杜斯妥也夫斯基、惠特曼、福樓拜……
他邊與黑暗搏鬥著,把他們的名字數下去。但書籍自然而然憂鬱地向陰影中消沈下去了。他終於沒了耐性,想從西式梯子下來了。這時,一盞沒有蓋的電燈,恰在他的頭頂,突然亮了。他就那麼呆立在梯子上,俯瞰在書籍之間走動著的店員和顧客。他們渺小的出奇,而且很寒傖。
「人生比不上一行的波特萊爾。」
那一刻他就那樣站在梯子上看著他們。


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